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【小説】『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス【感想】

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こころ いっぱい うごかされたいな~!


という人向けに、今回はタイムリーな小説『アルジャーノンに花束を』をご紹介します。


ダニエル・キイス著『アルジャーノンに花束を』は、1961年2月に日本語版の初版が発売されたSF小説。

まるで実在していた話しかのように、感情移入できる美しいお話しです。


今回なぜこの本を読もうと思ったかというと、昔ドラマを見たことがあるのをふと思い出したから。

どうやら最新のドラマもあるようですが、私が見たことがあるのはユースケ・サンタマリアさんが主人公のチャーリイを演じたものです。
当時はまだ小学生でしたが、迫真の演技に心を打たれたものでした。

そのおかげか、また読もうかなと思っていたところ、こんなポストがバズっていました。


実にタイムリー。集合意識が繋がったかな。
これは読めということですね、ということで、今回はkindleで新版を読むことにしました。

この記事は物語の結末は伏せていますが、多少のネタバレを含みます。
※まだご覧になれてない方は自己責任でご覧ください。






1.『アルジャーノンに花束を』




書籍の概要


≪タイトル≫
アルジャーノンに花束を(新版)


≪著者≫
ダニエル・キイス


≪翻訳≫
小尾 芙佐


≪出版社≫
早川書房


≪ジャンル≫
SF小説


≪ページ数≫
372ページ


発売日
1959年4月…初版
2015年3月10日…新版初版


あらすじ

≪あらすじ≫
2015年放送 ドラマ『アルジャーノンに花束を』原作
32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書(バイブル)。

読書メーター(https://bookmeter.com/books/2145)



2.感想




本の流れが美しい

幼児の知能しか持ち合わせていない主人公のチャーリイ。
そんなチャーリイが手術を受け天才になり、そして最期には・・・。

そんな彼の頭の中を著者は日記形式で描いています。

知的障害者の書いた文章の読みづらさから始まり、途中は普段は使わないような天才が書いたのだと理解できる単語が出てきたりと、チャ―リイの”利口になりたい”という直向きさと勤勉さが伝わってきます。

思わずその書籍の構成に関心させられるほどです。


知能より大切なもの

本書の途中、チャーリイは急速な知能の上昇に感情が付いていかない場面が出て来ます。

そんな中、恋愛や周りの人々との関わりの中で知能より大切なことを学んでいきます。

知能が低いからこその苦しみや、知能が高いからこその苦しみがそれぞれあるのだと理解出来ます。
むしろ、知能が高くなってからの方が真相を知る力が増し、知らなくてもいいことも知るようになるのだと知りました。

思いやりの気持ちはどんな時でも忘れてはいけないと、そう感じる一冊です。


心優しいチャーリイ

チャーリイは元々手術を受ける前から優しい人柄でした。

知能が上昇し、一時期はその優しさよりも理論的になる部分も見られましたが、最終的にはやはり優しいチャーリイの姿を見ることが出来ました。
その優しさがなんともいじらしく、感動させられます。

また、知的障害は知能としては健常者と足りない部分はあれど、”人間としての尊厳“は同じであると考えさせられるお話しでした。



おわりに

『アルジャーノンに花束を』は心がかなり乱れるお話しです。

「動かされる」より「乱れる」という言葉が正しいと感じるほどです。
余裕のある時に読まないと少々辛すぎるかもしれません。

しかし、読み終わるとなんとも言えない美しさを感じることが出来ます。

心を更に豊かにしたい方にはおすすめの一冊です。
ぜひご興味のある方は読んでみてくださいね。



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